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折れたストックをめぐって

Posted by 愛知県勤労者山岳連盟 on 10.2013 遭対部   0 comments   0 trackback
「2012年11月、県連加盟山岳会の山行で、
下山中にバランスを崩し、持っていたスト
ックを突いたところ、ストックが折れて
転倒し、手首を骨折した、という事故が
起きました。この事故について、メーカー
に事例を示し、見解を問い合わせたところ、

①このストックはSGマーク適用除外の製品であること、
②一定の力をかければ折れる可能性があること、
③正しい使用法については販売店を通じて周知している、

という回答が返ってきました。愛知県連では、その後、
各会のストックを使用している会員から、アンケートを
取って、ストック利用に関わる実態調査をしました。
その結果から、ストックとその使用をめぐって、使用
方法の徹底だけではなく、登山者、メーカー、販売店
などが協議したり協力しあったりして、安全なストッ
クを作っていくなどの方向は考えられないかという問
題提起をしましたが、メーカーにはその気はあまりない
ようです。しかし、一方で、実際にかなりたくさんの
破損事例があるにもかかわらず、個々の事例について
いては知っていても、その多さや、ストックの強度や
正しい使い方について無頓着な登山者が多いことも事
実です。そうしたことを考えて行っていただくきっか
けとして、読んでいただければ幸いです。

       愛知県勤労者山岳連盟理事会・遭難対策部」



1111.jpg


発端・問題意識
 
昨年11月、下山中に、メンバーの
ひとりが身体のバランスを崩し、
とっさにストックを突いたところ、
ストックが折れて斜面に倒れ込み、
手首を亀裂骨折したという事故が報
告された。そのパーティーのリー
ダーの「ストックはよく折れる。い
ろいろなところで、折れて打ち捨て
られたのを見ている」という話から、
「よく折れる? 私の周りでは折れ
たという話はあまり聞かないのだけ
れど……。どんなメーカーのどんな
ストックで、どんな使い方をしたの
か、調べて報告してほしい」という
依頼をしたところ、後日、そのリー
ダーから、事故の状況、ストック破
損部分の写真、破断の詳細な考察を
まとめた報告書が出されてきた。
 
破断面の写真は、「こんなふうに
折れるのだ」という事実を改めて突
きつけている。報告書の最後は
〝「ストックは衝撃力が作用すると
破断する」ものと考えて使う必要がある
〞と結ばれていた。その通りだと思う。
しかし、「折れない」わけではない
だろうが、「そんなに簡単に折れて
もらっても困る」とも思った。
 
ストックは二本の足以外に積極的
に支点を増やし、安定した歩きをす
るためのバランスの補助や、足にか
かる負担を軽減するための道具とし
て、山の世界でも市民権を得てきて
いる。誰もが「折れる」ことを前提
にして山で使ってはいない、という
思いがある。
 
「私たちが知らないだけで、ストッ
ク破損のもっと多くの事例があると
したら……これはけっこう怖いこと
だ。仲間うちの事故にとどめないで、
きちんと事実をメーカーにも伝え、
問題があるなら改善してもらうこと
が、同様の事故が起きないためにも
必要なんじゃないか」。そんな視点
から、愛知県連では12月上旬にメー
カーに事故を伝え、見解を問う文書
を送った。
 

222.jpg

メーカーの回答と実態調査
 
メーカーからは、ほどなく回答が
返ってきた。それによると、当該の
ストックは「製品安全協会の定める
安全を保証する強度が、軽登山志向
のユーザーの要求する軽さ使いやす
さを満足できない」ことから、
「SG基準認定外(SGマークの
つかない商品=製品安全協会の定め
る安全を保障する強度ではない)
商品として市場に流通させ」たもの
であること、安全に向けては、
チラシ、取扱説明書、パッケージ、
販売店などを通じて「耐荷重を超え
た誤使用を避けるようお願いし、
事故の未然防止に努めた」とのこと
だった。言い換えれば、「折れた
ストックはSGマークのついていな
い商品だし、使い方については説明
しているので、(事故は)誤った
使い方をした登山者の責任だ」との
主張ととれないこともない。
「こんな見解じゃあなあ……」
というのが大方の意見であった。
 
「会でも、ストックを使っている
ひとが多くなっている。会の外の一
般の登山者のストック使用比率っ
て、かなりすごいのでは。そういう
ひとたちがみんな、こんな説明を受
けてるとは思えないのだけれど
……」そんな意見も仲間から出され
た。

ある店舗では、「もともとストッ
クは補助的なもので、全体重をかけ
るものではない。その趣旨を説明し
て販売している」、「メーカー間に差
はなく、ほとんどのメーカーのス
トックが修理に出されてきている」
という話を聞いた。
 
まず仲間うちの実態をつかもう
と、各会に、ストックにかかわるア
ンケート(設問項目:①メーカー名、
②購入店、③購入時期、④購入時の説
明の有無、⑤破損経験の有無、⑥シン
グルでの使用かダブルでの使用か)
を実施した。3週間ほどの間に集
まった10山岳会266件の回答のうち、
「購入時の説明の有無」、「破損
経験の有無」の二点を見ると、「説
明を受けた」と答えたのは49人(18・4%)、
「破損経験がある」と答えたのは
20人(7・5%)であった。受けた説明の
内容はほとんど伸縮の仕方、ジョイント
の締め方などで、明確に「強度」に
ついて説明を受けたと答えているのは
1人であり、実態とメーカーの回答とは
少し乖離がある。破損の事例は、「折れ
た」、「曲がった」が各8人、あとは
「ジョイント部分、ねじ部分の故障」
であったが、表面に出ていないところで
けっこう事例があることがわかった。
 

333.jpg

メーカーの姿勢と登山者の意識
 
「ナイロンザイルは切れない」という
メーカー側の謳い文句が「ナイロンザ
イル事件」の発端だった。「プラ・
ブーツは劣化、加水分解する」という
注意をメーカーが呼びかけ、新しい
素材による登山靴が次々に開発されて
きたのは、突然プラ・ブーツがばら
ばらになった、という登山者の声が
届いたからだった。
 
今、「ストックは折れる」、「使用
上の注意も呼びかけている」とメー
カーは言っている。しかし、はじめ
からそう断っているからといって、
身体のバランスを立て直すための補
助として使ったら、「想定外」の荷
重がかかって転倒し、骨折した事故
が現実に起きているのに、強度の基
準を示し、SGマークのシールが
貼ってない商品だから、ここまで以

上の力がかかれば「折れるよ」と澄
まして回答するだけで済まされる
か、といえば、そうは思えない。
 
「折れる」ことが基準認定外商品
として想定内のことであるとした
ら、「登山のギア」として、いった
い何を作っているのか、何を売って
いるのか、という指摘はまぬがれな
いだろう。想定外のことであれば、
その事例にきちんと向き合い、検証
しながら改良に向けていく姿勢が必
要なのではないか、と言いたいのだ。
これほど登山のギアとして普及して
きているストックの「登山道具」と
しての位置付けをもう一度考え直し
たり、安全基準を見直すことが要る
のではないか。
 
登山者にも考えてほしい。そうい
う説明があったから、そう断って
あったから、「折れた」のは自分た
ちが基準以上の荷重を掛けたからな
んだ、なんて、妙に物分かりがよす
ぎていいのか、おい。

(『登山時報』2013年3月号より)
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